<薩摩つげ(黄楊/柘植)の栞>
古来より、黄楊の木は櫛や印鑑、細工物の最高の素材として親しまれてきました。その中でも、薩摩柘植は鹿児島県の指宿地方が原産地のツゲ科の常緑低木で、輸入のつげの産地であるタイなどに比べ、気温が低い為、さつまつげは輸入のつげよりも成長が遅く、年輪の幅が狭くなります。年輪の幅が狭い分、きめ細やかな素材となり、薩摩つげから作られたつげ櫛は均質で、非常に弾力に富んで滑らかな櫛になります。それゆえ櫛の材料として珍重されています。
材質は黄色で、緻密(ちみつ)な木肌をもち、固くてねばり強く、折れにくく、使い込む程に艶(つや)がでてきます。
それ由、夫婦円満、家内安全等縁起のよい木として珍重されてきました。
この恵まれた素材を生かすことは、黄楊の手作りに生きる人々の永遠の願いです。
<つげ櫛やブラシと椿油>
つげのヘアーブラシには純粋な椿油を染込ませています。この効果は髪にとって絶大な影響力を持ちます。
直接、椿油を髪に付けるとベトベトして髪がペッタリしてしまいますが、つげの木に染込ませて使うことにより、そのベトベトした感覚は無く、シットリとしたツヤツヤの髪になります。椿油は古来から髪に栄養も与えてくれました。髪は身体の中で一番最後に栄養が行くところです。ですから髪から栄養を与えることで髪の老化を防ぎます。この事は若い頃からつげの櫛を使っている方々が実証してくれました。80歳〜90歳になっても黒髪だったのです。
つげの木と椿油の相性はよくできています。つげの木は最も硬い木の種類に属しますが、それでいて粘り強さも兼ね備えており、簡単には欠けません。ですが、非常に暴れる木でもあります。そこで椿油がつげの木を反らせないのに役立つのです。
また、つげの木は年輪は細かく、ミクロ顕微鏡で見なければ分からないほど細かな道管なため、油も椿油やオリーブ油でなければ通りません。試しに他の油で染込ませてみましたが全体に染込まずシミになってしまいました。やはり相性的には椿油が一番なのです。
つげのブラシで頭皮をマッサージして、染込んだ椿油で栄養としっとりツヤツヤした髪にします。ぜひお試しください。
<つげ櫛が出来上がるまで>
当店取扱の「つげ櫛」は、国産の薩摩柘植(さつまつげ)を使い、伝統ある職人さんが匠の技で仕上げている芸術品です。
その薩摩つげ櫛を作る工程は、まず、原木の黄楊(つげ)を乾燥させる作業から始まります。乾燥させる理由は、原木のわずかな「反り」を修正する為です。乾燥期間は1年以上、気候によっては、さらに数年掛かります。また、乾燥させる前には、燻部(くすべ)で約2週間ほど「燻蒸(くんじょう)」と呼ばれる、煙をたいて燻した、いわゆる木の燻製(くんせい)をつくります。燻蒸することで、乾燥させた時に木が熟成され、歯こぼれのしにくい丈夫な木になります。
乾燥させ熟成させておいた原木を「板削り(いたけずり)」という作業で表面を削ります。この際に木に細かい傷がないかチェックします。次に機械で「3寸5分」「4寸」などのサイズに合わせた木型を作り、その後「歯挽き(はびき)」をして歯を作ります。そして、ヤスリで一本一本丁寧に歯を仕上げていく「歯摺り(はすり)」や「根ずり」を行います。歯すりの前にはその前にやすりを通りやすくするために「先付け(さきつけ)」という作業で先を細くします。歯すりや根ずりは機械ではできない職人技なので、薩摩つげ櫛である証拠とも言えます。これはまさに、歯に命を吹き込む作業となります。「荒歯」は「中歯」よりも歯すりに時間がかかるためお値段も上がります。
歯が出来上がると、「解き櫛」「パーマ櫛」「手つき櫛」などの櫛の形に成型し、最後に数種類のペーパーを使って丁寧に研磨仕上げを行い、ようやく黄楊櫛の完成となります。
●セット櫛(大)
これは分け目を入れたり、前髪をセットするのに使います。身巾が薄いため立て目に1本補強をしています。
<仕様>
サイズ:幅21cm×高さ2.8cm×厚み0.5cm×歯間0.2cm
材質:国産薩摩柘植(さつまつげ)
製造:泉州貝塚市(和泉櫛)
※手作り商品の為、若干サイズに誤差が生じる可能性がございます
<ご使用上の注意>
●新しいつげ櫛はご使用の前に、椿油か植物性の油を十分に浸み込ませてからお使い下さい(※当商品は既に「椿油仕上げ」致しておりますので、そのままでもお使い頂けます)
●水や湯で洗いますと光沢がなくなり狂いを生じますので避けてください
●ドライヤーのご使用は避けてください
●歯の間が汚れた時は、歯ブラシに椿油か植物性の油を付けて汚れを落としてください
<櫛のお手入れ方法>
1、お手入れ用のはけ、または歯ブラシと、椿油を用意します。
2、全体、特に歯を中心に、椿油をつけます。ハケや歯ブラシで軽くこすって油をなじませ、その後、20分から30分、時間をおきます。
3、汚れが浮き上がってきていますので、はけでしっかりかき出します。特に根元の部分をかき出すと、きれいに汚れが落ちます。
4、ある程度汚れが出たら布やティッシュで拭き取りとります。そして3時間から4時間程置くと、椿油が櫛の中に染み込んで光沢が出ます。
※2010年8月よりメーカーが変わりました。
※2014年12月より再度メーカーが変わりました。
(材質・品質に変わりはありません)
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